最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(生吹くんって、すごく相手を思ってくれる人なんだなぁ……)」
そんな事を思っていた時。
生吹くんが「そういえばさ」と、頭をコテンと倒す。
「美月のスマホの六桁のパスワードって、あれ……」
「六桁の数字?」
「うん、何か考えて決めたのかなって」
そんな事を気にしてくれる生吹くんが可愛くて、私は「ふふ」と笑った。同時に、少しだけ下がる眉。
「あれはね」
次に私が口にした言葉。
生吹くんは驚いて、その内容を聞いていた。
「両親が居なくなった後、施設に入って育ったんだけど……。そこの施設長の誕生日なの。12月24日」
「へえ、クリスマスイヴなんだね」
「……うん」
徐にスマホを取り出す。その時に、ポケットに入っていた「ある物」が、一緒に外へ出てしまう。
カサッと落ちた「ある物」を、生吹くんが見つける。スッと手を伸ばして、拾ってくれた。