最強王子とフェンス越しの溺愛キス
俺のダチの春風生吹を一言で言うと、
「良くも悪くもストレートな奴」だ。
春風生吹、なんて爽やかな名前を持ちながら、入学式の日に開口一番。
初対面の俺にこう言ってきた。
『お前、一輝っての?』
『は?そうだけど』
『俺、生吹。名前似てるな俺たち』
『……だから?』
『別に。まぎらわしーってだけ』
『(は?)』
普通ならケンカになりそうな一言だが、俺は見逃さなかった。
アイツが……生吹が、少しだけ笑っているのを。
『(あぁ、なるほど)』
その顔を見て、俺は気づく。
生吹は、
嫌悪感で話しかけたのではなく、
好奇心で俺に話しかけたのだと。
その好奇心が「まぎらわしー」って言葉になるのは如何なもんかと思うが。
『春風生吹……か。ふん、変な奴』
俺が思春期で少し荒れていた、その時期。
すぐに手を出さなかったのは、これが初めての事だった。