最強王子とフェンス越しの溺愛キス
『なぁ生吹』
『だから、紛らわしいっての』
『なんだよ。まさか”様”をつけろとか言う気か?』
『……いや。じゃあ俺も一輝って呼ぶ』
『は?紛らわしいんだろ?』
『うん、嫌がらせ』
『はぁ!?』
『どう?ウザイ?一輝』
『〜っ、ぷ。アホくせー』
『な。ガキみたいだ』
そう言って笑い合った入学式当日に、俺らはダチになった。バカみたいな理由で。
それに、
真っ直ぐ俺と向き合うアイツを見てると、本当にイノシシみたいで見ていて飽きなかった。
そして、そのストレートさは、こんな所でも発揮される。
『……悪ぃ。俺いくわ』
今日の放課後。
生吹の電話が鳴ったと思ったら、顔を青くしてダッシュしたアイツ。
平常心なのか、違うのか――
何となく心配してついていったけど、俺の手助けは不要だったんじゃないかと思うほど、生吹は圧勝した。
美月ちゃんと言う美女に会えたのが、俺の唯一の救いだ。