最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「君は、俺に何をくれるの?」
ピリッと。
場の空気が凍りついた。
「(どうすんだよ、生吹……)」
俺は藤堂さんと幼なじみだから、こうやって連絡とったり普通に話したり出来る。
けど、藤堂さんが総長代理になった時から、ズケズケと物を言うのは控えた。
喧嘩だって藤堂さんが上だし、口でも勝てねぇ。
だから、今も。
俺が生吹に手を貸してやれる事は、何一つない。
「(生吹、お前が一人でどうにかするしかねーんだぞ……)」
だけど。
ハラハラする俺とは反対に、生吹はあっけらかんとしたものだった。
俺に「助けて」と視線を寄越すことはない。ばかりか、藤堂さんから視線を一度も外さず、こう答えた。
「俺が藤堂さんの傘下に入ります」
この言葉に、俺も、そして藤堂さんも――目を見開いて驚くのだった。