最強王子とフェンス越しの溺愛キス

「君について、ある噂が流れているのは知ってるかな？」

「！」



その質問にビックリしたのは、俺の方だ。藤堂さんが言いたい噂は、たぶん――


と推察していた時だった。



「知っています。俺が総長なんじゃないかって、そういう噂ですよね？」



しれっと、生吹が答えやがった。



「は？生吹、お前しってんのかよ」

「あれだけ噂されれば嫌でも耳に入る」



本当に嫌そうに顔を顰めた生吹。噂に触れないようにと、今まで気を使っていた俺は「マジかよ……」と肩を落とす。


だけど、反対に笑ったのは藤堂さんだ。



「それなら話は早い。今日も、本来なら君たちにアジトに来てもらいたかったけど。

総長かもって噂されてる生吹くんが来たら、一族は大混乱だ」



だからこうして俺が赴いたわけだよ、わざわざ――



と、嫌味ったらしく話す藤堂さん。生吹は何食わぬ顔で聞いていた。