最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「大変でしたね。けど、それは取り越し苦労ですよ。だって俺――
総長じゃないですもん」
「は?」
「え?」
俺と藤堂さんが被った反応をして、生吹がまた顔を顰めた。
「総長に見えます?この俺が……」
「見える見えない、の問題以前に。
総長に関する噂が、君と酷似してるんだよ」
総長はケンカが超がつくほど強い
総長はイケメンの中の超イケメン
「これを聞いたら、誰だって生吹くんだって思うよ?」
藤堂さんが言うと、生吹は首を傾げた。「これだから噂は」と吐き捨てながら。
「ま、でもさ……。
結局、生吹はどうすんだよ?」
仕切り直して俺が尋ねると、息吹は角砂糖の入った容器に手を伸ばす。
そして二つ。それを掴んで、さっき藤堂さんが転がした角砂糖の上に二個積み重ねた。