最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「大変でしたね。けど、それは取り越し苦労ですよ。だって俺――


総長じゃないですもん」


「は?」
「え?」



俺と藤堂さんが被った反応をして、生吹がまた顔を顰めた。



「総長に見えます?この俺が……」

「見える見えない、の問題以前に。

総長に関する噂が、君と酷似してるんだよ」



総長はケンカが超がつくほど強い
総長はイケメンの中の超イケメン



「これを聞いたら、誰だって生吹くんだって思うよ?」


藤堂さんが言うと、生吹は首を傾げた。「これだから噂は」と吐き捨てながら。



「ま、でもさ……。
結局、生吹はどうすんだよ?」



仕切り直して俺が尋ねると、息吹は角砂糖の入った容器に手を伸ばす。

そして二つ。それを掴んで、さっき藤堂さんが転がした角砂糖の上に二個積み重ねた。

< 129 / 447 >

この作品をシェア

pagetop