最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「じゃあ、今日はここでお開きにしよう。

あ、そうそう。生吹くんが最初に言ってた“ 真白”という子だけど」

「!」



ガタンと、生吹が忙しなく反応する。それを見た藤堂さんは眉を下げて、申し訳なさそうに笑った。



「ごめんね、その子の事は知らないんだ。

何一つね――」









「お前、良いのかよ」

「何が?」

「真白って子の情報掴めなかったのにMoonに入って。入り損だろ、確実に」




ファミレスからの帰り道。予告通り、会計は生吹に支払ってもらい、退店する。

バイクの藤堂さんとはそこで別れて、現在俺たちは帰路に就いている。



俺からの質問に、生吹は「あー」と声を漏らす。そして夜空に浮かぶデケー満月に向かって、呟くように言った。


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