最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「藤堂さんに俺の事を色々喋るなよ?特に美月の事。あの人、なんか色々聞いてきそだし」
「言わねーよ。言いそうに見えるか?俺が」
「見える。俺の情報とか横流ししてそう」
「(ギクッ)」
確かに新島辺りの事は、藤堂さんに情報を流したけど。
あ、そういえば。
「藤堂さん」と名前を聞いて、さっきのファミレスの事を思い出す。
『だって俺、総長じゃないですもん』
俺はずっと「生吹が総長」なんじゃねーかって思ってた。俺に隠してるんじゃねーかって。
だから、今まで疑っていた事が、どことなく申し訳ない気持ちになる。
「生吹、悪かったな。俺、お前のことずっと総長なんだと勘違いしてたわ」
「……」
「生吹?」
俺を見たまま固まる生吹。訳が分からなくて、俺も黙って見返した。
その時。
パーッ
とクラクションを鳴らしたダンプカーが、俺らの横を通り過ぎる。生吹はハッとしたように我に返り、俺を見て笑った。