最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ふ、ここにもいた」
「な、何がだよ?」
意味がわからなくて疑問符でいっぱいになってる俺の肩を、生吹はポンッと軽く叩く。
「なに律儀に謝ってるんだよ。ただの噂だろ?」
「そう、だけど。お前は噂されんの嫌いだろ?総長のことじゃ、俺も噂した他の奴らと同罪だから」
「ふーん、あっそ」
「な!?」
人が真摯に謝ってれば、この男……。
まるで入学式の日の時のように、俺を適当にあしらいやがって。
「(ん?入学式の時みたいに?)」
だったら――
ある事を思いつき、コンビニの前を通った瞬間に生吹を見る。
すると、店の光で俺たちの姿が暗闇に照らされる。そこで、俺はアイツの顔を目にした。
生吹が少しだけ笑っているのを、俺はハッキリと、この目で見たのだった。
「お前って、本当イノシシだよな」
「は?どういう事だよ」
「ストレートに不器用って事」
「なんだそれ」
「ふん、こっちの話だ」
一輝 side end