最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「あ……っ」
「ぶッ!ご、ごめ……っ」
ククク…と笑いを押し殺している生吹くん。
何もかもが恥ずかしくなった私。穴があったら入りたくて、また逃げようと、昨日と同じように回れ右をした。
だけど――
ガシャン
「今日は、逃がさないからね」
「ッ!」
また、手を掴まれる。
生吹くんに、捕まってしまった。
「な、なんでですか……っ」
「え?」
私はドキドキする心臓に負けないように、酸素を浅く吸いながら尋ねた。
「どうして、私に構うんですか……?」
「え、どうしてって?」
驚いた顔をした生吹くん。
だけど、私は純粋に疑問だった。「魔女」と呼ばれている私に、どうしてこんなに優しくしてくれるのかって。
「(もしかしたら、何かの罰ゲームなのかも?魔女と仲良くしろって、誰から命令されている、とか)」
後で傷つきたくない。
だから、思い切って聞いてみた。
「私が魔女だったら、どうするんですか?」
「え、魔女?」
「(やっぱり……知らないんだ)」
ホッと安心したのと。
ズキッと気づいたのと。
たぶん、両方。