最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「も〜いつまで目を逸らしてるんスか藤堂さん!美月さん、超美人ッスよ!魔女って噂を怖がるより、むしろ見なきゃ損ッス!」
「わ、分かってるから小太郎。大きい声で言わないで……」
「(あ、そっか……。私が魔女だから、目を合わせるのを控えてたんだ)」
そう気づくと、自分がここにいるのが悪い気がして……。なるべく地面に目を向ける。
すると、そんな私を見た生吹くんが白い目で藤堂先輩を見た。
「美月が学校にいる時はそちらに任せて、いいんですよね?」
「あ、当たり前だよ……っ」
生吹くんの確認を、額の汗を拭きながら答えた藤堂先輩。「ふぅ」と深呼吸をした後、私を見た。
ジッと、真っ直ぐに。
私と視線がぶつかった。
「君が……美月ちゃん……?」
「そ、そうですっ。た、立花美月です……っ」
真白ちゃんの時と同じように、すぐに自己紹介をする。ペコリとお辞儀を添えて。
「……」
「あ、あの……?」
藤堂先輩が固まったままなので、どこか調子が悪いのかと不安になる。
だ、大丈夫……なのかな?