最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「小太郎くん、その……ありがとうございます」
「へ?何がっスか?」
「えと、その……色々。
今も一緒に帰ってくれてるし、私一人じゃ心細かったから嬉しいですっ」
「!」
「(へへ……)」
眉を下げて笑った、その時。
長い髪が風に煽られて、空を舞った。
「風、強いですね」
「そ、そそ、そうッスね!」
「小太郎くん?」
小太郎くんの顔が赤い。
夕日に照らされて赤くなってるのかな?いや、いっぱい喋ったから暑いだけかも?
色々な想像をしていた私。
だけど、小太郎くんは「美月さん!」と大きな声で私を呼んで、突然に手を握った。
ギュッ
「え、と……小太郎くん?」
「俺、なんで今まで美月さんの事を気にかけなかったか不思議なくらい、今ドキドキしてるッス!」
「そう、なの……?」
い、意味はよく分からないけど……。
私を気にしなかったのは、私が魔女だって噂されてるのが大きいんじゃないかな……?