最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「あのヒョウ柄のパーカー……強いんですか?」
さっきの声色とは違う、真剣さ。
「(ヒョウ柄……小太郎のことか)」
俺はウソをつかずに、事実を述べた。
「小太郎はケンカは弱い。見ての通り、あの身長だからね。色々と不利らしいよ。
だけど、小太郎には足がある。人並み以上の速さだ」
「足?あぁ、そう言えば朝に……」
言ったきり、少し不機嫌な顔をした生吹。
少し気になったものの、その目で小太郎の俊足を見ているなら話は早い。
「もしもLunaが襲ってくるとすれば、いくらケンカが強くても悪知恵を前に敵わない。
だから小太郎には、こう言ってある。
もしもLunaと遭遇したら、仲間の待つポイントまで美月ちゃんを連れて走って逃げ切れ――と」
俺の話す事に理解できたのか、生吹は頷いた。
続けて話す。
例の「真白」の事だ。
「もちろん真白のことも伝えてある。生吹が警戒しているようだったからね。
現れた際には観察して、危険だと判断すればLuna遭遇時と同等の対処をするようにと言った」
「ありがとうございます」