最強王子とフェンス越しの溺愛キス
やっと生吹が安心したのを見届ける。
「(ほんとに。世の中分からない)」
最強といわれる男が、たった一人の女の子の事で顔色をコロコロ変えるのだから。
「さっきの美月ちゃんからだった?大丈夫だった?」
「はい、無事に家に着いたと」
「なら良かった」
そうこうしている内に、俺たちも目的地に着く。
使われていない大きな倉庫。まだ綺麗なのが幸いだ。
「この中に仲間がいる。心の準備はいい?」
「はい。俺が総長とか言われた際には、訂正を頼みます」
「……分かったよ」
正直、訂正しきれる気がしない。
だって皆が皆、生吹を総長に違いないって噂していたのだから。
「じゃ、開けるね」
ガチャ