最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「藤堂さん、こんにちは!」
「おい、あのイケメンって……」
「伊織さーん、こっち来てください!」
「春風生吹!?あれ春風生吹だぜ!?」



俺の名前と生吹の名前が、交互に呼ばれる。

チラリ――俺の横に立っている生吹を見ると、顔色を変えずに皆を見つめていた。



「(さすが、肝が据わってる)」



暴走族に入ってないとはいえ、いくつもの修羅場を潜り抜けて来ただろう生吹。いわゆる百戦錬磨だ。



「皆に紹介する。新しい仲間の春風生吹くんだ。

Moonの中では後輩にあたるけど、ケンカに関しては大先輩だ。

皆、たくさんの事を聞いて学んで、一緒に楽しくやって行こう」

「「「うおぉぉぉ!」」」



皆が肩を抱き合って喜んでいるのを見て安堵する。

生吹は仲間に歓迎されたってことだから。



「(だけど、引っかかる)」



誰も「生吹を総長だと言わない」からだ。


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