最強王子とフェンス越しの溺愛キス
不思議に思ったのは生吹も同じなのか、首をひねっている。
そして我慢できずに、一番近くの仲間に「聞いていいですか?」と尋ねた。
「俺を総長だって、誰も言わないんですか?」
すると仲間は「あぁ!」と言って、生吹に向かい合うように立った。その手には、未開封のジュースが握られている。
「さっき一輝が来たんだよ。ダチなんだろ?お前と」
「え、一輝が?ダチですけど……、何しにここへ?」
俺も気になって、隣で話を聞く。
すると仲間は「それが」と、掻い摘んで話した。
「ここに来るやいなや――」
『Moonの皆に言いたい。春風生吹は、本当に総長じゃねーよ。
ぜったい違う。俺は信じる。だから――
”藤堂さんと幼馴染の俺”の話を、皆も信じてほしい』