最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「藤堂さん?なんか笑ってます?」



生吹に勘づかれ、急いで真顔に戻ろうとする。

だけど戻せなかった。顔は、緩んだままだ。



「どうかしました?」

「うん、いやね……。急に距離を置いて冷たくなった幼馴染が、珍しく近づいてきて粋なことしたなって。しかも友達のために。それが嬉しかっただけ」

「へぇ?」

「アイツは頑なに、Moonに入ろうとしなかったから。いつもツンツンしてて、無理やりここに連れて来た時も仲間とつるまなかったし。友達に興味が無いのかなって、心配してたんだよ」

「まるでお母さんですね」

「幼馴染って気になるもんだよ。グレたら特にね」



そういうと、生吹は目を開いて驚いた。



「え、一輝ってグレたんですか?」

「さあ?」

「……」



訳が分からない――と言いたそうな生吹。

面白くて、ついつい笑ってしまう。

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