最強王子とフェンス越しの溺愛キス
だけど――
「美月」
「!」
フワッと、真白ちゃんが私を抱きしめてくれる。
そして「ヨシヨシ」と、私が帰り道にしたみたいに、頭を撫でてくれた。
「美月、何も考えないで。怖がらないで。
私は大丈夫。美月も大丈夫、絶対」
「ま、しろ……ちゃん……」
「ね?今、美月の前に赤は無いでしょ?」
「!」
抱きしめたのは私を落ち着かせるためと、自分の赤い血を見せないため。
「真白ちゃぁん……っ」
こんな状態、真白ちゃんも怖いだろうに。私の事を第一に考えて動いてくれる真白ちゃんに、涙が溢れた。
「真白ちゃん、私と一緒にいたから……。ごめ、ごめんね……っ」
「ううん、そんなの関係ないよ。私が美月と一緒にいたかったんだから」
それに――
と真白ちゃんは付け加えた。