最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「私が一緒で良かった。幸い両手両足は拘束されていないし、やっと美月を守れる。
クソみたいに堕落した集団から、美月を――」
「(真白ちゃん……?)」
聞き間違い、かな……?
いや、でも。
私の横で聞こえた声は、真白ちゃんのものだった。
『クソみたいに堕落した集団――』
ひどく冷え切った、彼女の声。
どんな思いでそう言ったか、私は分からなかった。
ガチャ
「!」
ドアの開く音がして、そっちを見る。
すると――やっぱり新島が立っていた。
「どーも~昨日ぶりぃ、美月ちゃん」
「っ!」
頭の奥で、何かが刺さる。頭痛が増す。
危ない、逃げて!と警鐘が鳴る。
だけど、
「(にい、じま……っ)」
顔を見た時、昨日この人に何をされたか思い出す。すると恐怖からか、体が震えて動かなくなった。