最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「あれ~?制服直しちゃったのなぁ?イイ感じに破れたのになぁ。今日も破っちゃおうかなぁ?それ」
「っ!」
私がなんとか手縫いで直した制服を、嫌な目で見る新島。
恐怖と、怒り――
それにより私は、いつの間にか「フッ……フッ……」と浅い呼吸を繰り返していた。
「落ち着いて美月。大丈夫、逃がしてあげるから」
「(真白ちゃん……?)」
まだ抱き合っていた状態だったため、真白ちゃんの声は私にしか届かない。
耳元で聞こえる彼女の声は、いつもより低い。こんな時だというのに、その声色に何故か落ち着いた。
すると、いつまでも顔を見せない真白ちゃんに、新島が痺れを切らす。
「おい、そっちの女ぁ。顔を見せろ」
言われて素直に私から離れ、そして新島を見る真白ちゃん。
「ひゅぅ、良い女じゃねぇかぁ」と舌なめずりをした新島を、真白ちゃんは直接見なかった。