最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月、どこも何も……」
されてない?
という声は震えていた。
その時に、初めて私は気づいた。
私に危険が及ぶと、私自身が怖く感じるのはもちろん。
生吹くんも、こんなに恐怖を抱くのだと。
それだけ、私を思ってくれてるのだと――
「何も、されてない……。
何も、なかった……っ」
口にすると安心して、思わず泣いてしまう。
生吹くんは「何かされたのか」って余計に心配した。
けど、
生吹くん私、本当に何も無かったの。大丈夫なんだよ――
すると突如として、この部屋に第二の声が響く。
「いやー、ここまで来るのも大変だったろうに。
戦闘が終わっても傷一つなく、服にも汚れ一つ付いてないとはねぇ」
「!」
一度緩めた気は、簡単に戻らない。
生吹くんで見えない「その人」を警戒したいのに、体に力が入らない。
「い、ぶき、くん……っ」
逃げて――
そう言おうとした。
だけど、