最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「真白は今、戦ってるよ。泣きながら」
そう話す先輩の声こそ、泣いているみたいに震えていた。
「美月にお礼を言ってって、何度も何度も、俺に言った」
「真白、ちゃん……無事なんですね。良かった……」
「君を守れなかった事、すごく後悔してる」
「だから泣いて……。で、でも、」
でも、変だと思った。
だって、真白ちゃんだよ?
あの可愛い女の子が戦ってる?
戦ってる――?
その事に疑問を抱いていると純也先輩が私から離れ、説明をしてくれた。
「真白は小さい頃から綺麗だったから、ひどく目立ってね。可愛いすぎるってのも困りものなんだろうね。
”悪口言ってくる奴をボコボコにする”って、いつか俺に話してくれたよ。
武術を習い始めたのは、幼稚園の頃からだった。今では立派な格闘家みたいな強さだよ」
「そう、なんですね……」
そっか、だから真白ちゃんはあんなに自信満々だったんだ。
私を絶対助けるって、そう言ってくれた強い眼差しに、納得がいく。