最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「でもさっき、こうも言ってたよ。
鍛えても何も意味なかったって」
「え……?」
「肝心な時に友達を守れないんだったら、そんなのは無力と同じだって」
「そんな……」
真白ちゃん、そんな事を思ってたんだ……。
私が自己中なことをしたばかりに……ごめんね、真白ちゃん……。
視線を落とす私に、純也先輩が笑った。
「でも真白は武術意外にも切り札があってね」と。
「切り札?」
「そう。僕のこと。
僕って見かけによらず強いから。
真白に何かあった時も、連絡くれたら今日みたいにすぐに駆け付けてたし」
そこで純也先輩は一呼吸置く。
そして私を優しく見つめ、やっぱり震える声で話を続けた。
「今日……真白が連絡くれて本当に良かった。
間に合って良かったって、こんなに思った日はないよ」
最後の言葉を、噛み締めたように言った純也先輩。
続けて、私の頬に冷たい手をあてて「ごめんね」と謝った。
「美月ちゃんにこんな怖い思いをさせてしまって」
「え、でも……それは純也先輩が悪いわけじゃ、」
私が言った言葉に、純也先輩は眉を下げて笑った。
だけど瞬きをした後はパッと表情が変わり、私を抱っこする生吹くんを半回転させる。
「さ、もう行って。ここは僕に任せて、ね?」
でも――と言おうとした。
だけど、先に生吹くんが反論する。