最強王子とフェンス越しの溺愛キス


「じゃあ、ちょっと飛ばすね。ここには美月にとって悪いモノが多すぎる。

美月は目を瞑ってて。気持ち悪くなったら、その時は……」

「そ、その時は……?」

「俺に吐いて」

「(えぇ……っ!)」



すごく真顔で言う生吹くん。

だけど、そ、そんなこと出来っこない……っ!



「(吐かない!絶対に……っ!)」



もう嫌なモノは見ないようにと、ギュっと目を瞑る。

そして生吹くんの首に手を回し、落ちないように縋りついた。



「!」

「(吐かない、吐かない……!)」



すると生吹くん。

何やらスイッチが入ったようで……

「いいね」と、意地悪そうにほほ笑んだ。



「今から俺らを邪魔する奴らは、目障りだから全部窓から蹴落とすね」

「(えぇ!?)」



サラッと言っちゃうあたり、生吹くんなら本当にやっちゃいそうで。

「誰にも遭遇しませんように」という祈りを付け加えて、私たちは長い廊下を走ったのだった。


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