最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(なんだか、ウソみたい……)」
何もかもが、嘘みたい。
昨日から、私の世界は変わりすぎている。
怖いと、悲しいと、切ないが……すごい速さで、何度も私の中を回っている。
「(疲れた、すごく……)」
脱力感にあらがえず、生吹くんの肩に寄りかかる。
すると生吹くんは、何も言わず私の頭を引き寄せた。
「(疲れた、けど……確実に、良い事もあった)」
例えば、真白ちゃんという友達が出来た事。
その子が「守る」と言ってくれるほど、私を大事にしてもらえている事。
そして――生吹くん。
あんな中で発見してしまった、この気持ち。
「(私、生吹くんが……好き)」
新島に迫られて、もうダメだと思った時に浮かんだのは、生吹くんの顔。
この人ともう会えないと思うと、喋れないと思うと……
涙が止まる程ショックで、心臓が止まってしまったようだった。