最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「ねぇ、生吹くん……」
「なに、美月」
「お願い、キスして」
「……え?」
私の頭を肩に置いたまま、生吹くんは私を見る。
すごく、驚いた様子で。
「美月……どうしたの?」
「……して、ほしく……なったの」
「今、ここで?」
「~っ」
だんだんと恥ずかしくなってきて、生吹くんから離れるためにサッと体を起こす。
「さ、さっきは、してくれたのに……!」
「あれは、」
目が泳いでいる生吹くんを見て、少しだけムカついてしまった。
「もう、いいっ」
そう言って、プイと顔を逸らす。
だけど――
「ごめん、美月。でも聞いて」
体育座りをして、足の前で手を組んでいる私。
その手を、生吹くんは覆うようにギュッと握った。