最強王子とフェンス越しの溺愛キス
そして、ハッとする。
そうだ、私自分のことで精いっぱいだったけど、
「小太郎くんは無事ですか!?
真白ちゃんも、もう建物から逃げてますか……ッ!?」
聞いておきながら不安になって、声が掠れていく。
だけど、そんな私の不安を消すように、二人の先輩が笑って答えてくれた。
「小太郎は病院に行って手当してる。大した傷じゃないけど、一応ね」
「真白も無事!美月が無事ならそれでいいって、もう帰ったみたい。さっきメールきたよ!」
純也先輩が「はい」と、スマホを見せてくれる。
すると確かに、真白ちゃんの名前でメールが届いていた。
『終わったから先かえる
美月に本当にごめんって謝ってほしい』
文章が全部見えてしまって、私の胸がキュウと締め付けられる。
「助けてもらったのは……私の方なのに……」
そう零すと、藤堂先輩が「俺からも謝らせてほしい」と私に頭を下げた。