最強王子とフェンス越しの溺愛キス
私がいなくなった旧ゴミ捨て場では――
三人の男の人が、睨みを利かせていた。
「君たちのさっきの話。聞こえたよ」
そう言うのは、私と一緒にお昼を食べた生吹くん。
さっきまでの優しい雰囲気は一切なく、まるで射抜くような目つきで、相手を冷ややかに見ている。
対して、そんな生吹くんに見られているのは、私と同じ高校の男子二人組。
生吹くんを見て「おい、アレB校の王子じゃね?」とヒソヒソ話をしている。
「B校の王子?」
「知らねーの?すげーイケメンなんだよ。だから王子って言われてる。
けど、他にも噂があって、」
そう言いかけた時。
生吹くんが「チッ」と軽く舌打ちをした。
「俺の声、聞こえてるよな?」
「!」
「!?」
漆黒の瞳が鋭くなると、途端に生吹くんが違う人になったかのようだった。
彼の全身から漂う、有無を言わさない雰囲気。
更に、生吹くんの低くなった声が、この場の空気を電撃が走ったかのようにピリつかせた。
「聞こえてんなら質問に答えろ」
「んな、」
「なんだよ、その言い草……ッ!」
だけど二人組も、ただ黙っているわけではない。
「うっざ」と言って、生吹くんがいるフェンスに近づいた。