最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「指の動きだけで数字を当てたとか……」
「まるで盗人の手口だよね」
「言ってる場合ですか藤堂さん……」
「はは、まぁいいじゃないか」
真白って子の、疑いが晴れて――
「そう、ですね……」
言葉少なに肯定した生吹くんを見て、藤堂先輩は頷く。
「純弥、お前から礼を伝えてくれないか?Moonの総長代理として感謝したい」
「ぇ―別にいいよ。真白が興味あるの、美月ちゃんだけらしいし」
「それでもだ」
引かない藤堂先輩に、純弥先輩も「もー分かったよ~」と気怠く返事をした。その横で、生吹くんが考え込むように「痺れ薬…」と呟く。
「そうか。だから新島は動きが悪かったのか」
すると何気なしに聞いていた純弥先輩が「そうだね」と、雲のない空を見ながら反応した。
「きっと真白は、早い段階で新島に薬を打ってたんだと思う。
けど、思ったより効かなかったってのが誤算だったのかなぁ?真白の凹んだ様子を見るにね」
「え、でも……」
私の記憶をたどる限り、真白ちゃんがそんな事をしている素振りは一切なかった。
一体、どうやって……?