最強王子とフェンス越しの溺愛キス
私だけじゃなく、皆も疑問に思ったらしい。
すると、その様子を悟った純弥先輩が「仕方ないなぁ」とスマホを操作する。
「メールで真白に聞いてみるよ、どうやったのかって。今後の参考になるしね」
「参考って、お前ら異人類の真似ができるか」
「ま、物は試しですよ。藤堂さん」
純也先輩がスマホを操作すると、すぐさま「ヒュン」と、メールが飛ぶ音が聞こえた。
「(なんて返事が来るんだろう……)」
そう思っていると、純弥先輩が「あれ見て」と夜空を指さした。
皆で一斉に空を見上げると、少しだけ欠けた満月が、高い場所から私たちを見下ろしていた。
「月、キレイだねぇ」
純也先輩が、うっとりと呟いた。
そう言えば、純也先輩は片耳に三日月のピアスをつけていたっけ?
「(月が好きなんだろうな。純也先輩)」