最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月ちゃん~僕はこんな時間までも美月ちゃんと一緒にいられて嬉しい限り……って、あれ?」
もう少しで白いのが美月に触りそうだった時に、俺が美月を抱きかかえた。
美月は「え、え?」と困惑している。けど、これでいい。
「悪いけど、家に着くまではこの恰好のままだからね」
「えぇ!で、でも生吹くん、疲れるよ、きっと……っ」
「大丈夫。ひょっとしたら一番危ない奴が近くにいるかもしれないしね」
「ちょっと、なんで僕を見るのさ!」
暴走族の事を抜きにしても、コイツは気に入らない。たぶん、朝「愛しの美月ちゃん」って言ってるのを聞いたからだな。
「ね~伊織、言ってやってよ。
男の嫉妬はみっともないってさ~」
「だから俺を巻き込むのはやめろ」
二人の先輩の会話を聞いていると、美月が「ふふ」と少し笑った。