最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「どうしたの、美月?」
「ふふ、あのね。真白ちゃんも、純也先輩と同じ事を言ってたんだよ」
「同じこと?」
「そう。今日小太郎くんに向かって――」
『ヤローの嫉妬ぉ?醜い~』
と、真白はそう言ったらしい。
「幼馴染っていいね。本当に仲が良さそう」
「……そうだね」
俺の腕の中で、気を許して笑う美月。
もう恐怖心に飲まれた顔はしていなくて、心の底からホッとする。
「本当、」
無事でよかった――
そう思い、美月を抱きしめる俺。
そんな俺を、藤堂さんが静かに見つめていた。
◇
抱っこは恥ずかしいからおんぶにしてほしい――
美月にそう言われて、おんぶにして暫く歩くと、
「スー……」
美月は眠ってしまった。