最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「疲れてたんだな」
ポツリと零すと、隣を歩ている二人が声を揃えた。
「「そりゃそうでしょ/だよ」」
そして空を見上げながら、白いのが珍しく、大人しい口調で話し始める。
「真白が言ってたよ。真白が新島に犯されそうになった時、美月ちゃんがかばってくれたって。
私を見なさい、目を逸らすなって――真白を逃がすために、新島相手に啖呵を切ったらしい」
「(美月……)」
その時の事を想像するだけで、胸糞悪くなる。
新島、今度会ったら本当に殺す。絶対、一発ではしとめない。
「今、物騒な事を思ってるよね?生吹」
「……思ってませんよ、藤堂さん」
急に横やりを入れられて、ピクリと反応する。そんな俺を、藤堂さんは見逃さなかった。
「いや、思ってる。
生吹は美月ちゃんのためなら暴走するって、美月ちゃんへの接し方を見れば手に取るように分かる。
けどね生吹、その狂気じみた発想は捨てることだよ」
「……」
返事をしなかった俺を、藤堂さんは笑って見た。