最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「俺らの声が?何だって?王子に聞かれちゃマズイ事かよ。どうせそっちにだって、魔女の噂くらい知れてるだろ」
「それに王子にとっちゃ何の関係もない噂だよな?何ムキになってんだよ」
そう言われた時。
「ムキ、ねぇ」
生吹くんはそれだけ言って、緩やかに口角を上げた。
「そうだな。魔女の噂は、コッチの生徒もみんな知っているよ」
笑みはそのままで。生吹くんは長身を活かして、上から二人組を見下ろした。
「俺も、その噂を耳にした一人だ」
「なんだよ、やっぱ知ってんじゃねーか」
「ってか王子が何でこんな所にいんだよ。あ、まさか」
二人組は、顔を見合わせて笑った。
嫌な笑みを浮かべて。
「王子も、魔女を見ようってハラ?肝試しみたいな?」
「肝試し?」
「そーそー。罰ゲームみたいなもんだって。目を見たら本当に心臓もってかれるかどうかってヤツ」
「あー。噂の検証ってとこ?」
生吹くんが笑うと、二人組もつられて「それな」と頷く。
だけど――二人が油断した瞬間に。
生吹くんは、既に動いていた。