最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「藤堂さん、さっきの――
抗争にはなりたくないって、どういう意味だったんですか?」
「え?」
「美月の元へ向かう時に、そう言いましたよね?」
『抗争には、なりたくねーよなぁ』
あの時は急いでいたから聞き返さなかった。けど、どういう意味で言ったのか――確認しておく必要がある。
すると眉を下げた藤堂さんが「聞こえちゃったか」と、隠すわけでもなく話してくれる。
「俺はね、仲間の楽しそうな顔を見たら、怪我をさせるのが可哀そうになるんだよ。まあ、親みたいな心境だな。総長として情けない限りだけど。
でも、抗争がなく平和に二分化が維持できるなら、それに越したことはないってね」
「……そうですか」
LunaとMoonの拮抗を、俺が加入した初日で崩してしまった。
「(俺は疫病神みたいな存在、か。藤堂さん達に嫌われても仕方ないな)」
無関心に、そう諦めていた。
だけど――