最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「秘密にするつもりはなくて、いずれ話すつもりです。ただ……俺の口から伝えたいんです。この件に関しては特に」
「そう。何の理由があるか知らないけど、それだけ美月ちゃんの事を思っている生吹には、上手くいってほしいと思うよ。もう君の親みたいなもんかな。俺」
「こんな若い親、嫌ですよ」
顔を顰めると、藤堂さんは「はは」と笑った。そして今にもコンビニに吸い寄せられそうなアイツの肩を掴んで「じゃ」と踵を返す。
「どうせ今日は泊まりでしょ?美月ちゃんの心のケア、任せたよ」
「美月が許してくれれば泊まる予定です。色々と……ありがとうございました」
噛み締めるようにゆっくり言うと、藤堂さんは笑った。
当たり前だよ――そう言って。
「仲間のために動いただけだよ。俺たちはいつも生吹の味方って事、忘れないでよね」
「……」
「ん?」
「むせかえるクサ台詞ですね」
「今の言葉も忘れないからね」