最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「……ダメ?」
「! ~っ」
恥ずかしそうに俯く美月。
美月らしい反応に心が癒される。
だけど、
「泊まって、ほしい……」
「へ?」
「今日は、離れたくない。
今夜はずっと、一緒にいて……っ」
「――」
グラリ――こうも簡単に、理性は崩れるのか。
『せいぜい、新島みたく美月を襲わないようにね』
白いのを頭に思い浮かべて、「アイツの言葉どおりにはならない」と、何とか平常心を保った。
「あまり可愛いこと言わないで、美月」
「ご、ごめ……っ」
「離れられなくなるよ?俺」
「え、?」
「美月は、それでいいの?」
「……っ」
赤くした顔のまま、無言で頷く彼女。
いけない――と分かっているのに。
「もう。どうなっても知らないからね」
俺がそばにいる限り、美月はこの先、
何度でも危ない目に遭う。
だから、
俺から離すべきと分かっているのに、
距離をおくべきと分かっているのに、
それなのに――
俺の足は、空気を切って前へ繰り出す。
そして荒々しく美月の部屋を開錠し、勢いよくドアを閉めた。