最強王子とフェンス越しの溺愛キス
チュンチュンと、スズメの声が聞こえる。
「いま、何時……?」
独り言を呟くと、いつもはしんとした部屋に返事があった。
「今は朝の九時だよ」
「……へ?」
驚いて、寝転がったまま見上げる。
すると、なんと、
「おはよう、美月」
「~っ!」
生吹くんの優しい瞳と目が合った。その手は、壊れ物を包み込むように優しく私の体を抱きしめている。
「(え、なんで抱きしめたまま!?
あ、そうだ。確か……)」
寝る前の記憶が、徐々に覚醒される。
確か昨日の夜は……
「(生吹くんに添い寝してもらって、それから……すぐ寝ちゃったんだ)」
そう。実は帰って来たあの瞬間から、生吹くんはまるでお母さんみたいにテキパキと動き始めた。
私を着替えさせ、ベッドに招き、そして――抱きしめた。