最強王子とフェンス越しの溺愛キス
投げられた言葉に、刺さる視線に。
二人組の顔は、更に引きつった。
謝れば気が済むのか――
そう思い、一人が口を開けようとする。
だけど、開かない。
口が開かない。
開けようとも苦しくて、ただもがく事しか出来ない。
「ぐ、ぁ……っ!」
息がしづらくなってきたと感じた、その時。
パッと。
生吹くんが、潔く両手を離した。
瞬間、ドサッと二人の体は地面に落ちて、何度も何度も咳き込む。
そんな二人を冷たく見る生吹くん。
「ここには二度と来るな。
今度姿を見せたら――殺す」
「ひッ!?」
「ごめんなさい、もう来ません!!」
普通の高校生が口にする言葉じゃない。
普通の一般人が出せるオーラじゃない。
二人組は、半分腰を抜かしながら、走ってその場を後にした。