最強王子とフェンス越しの溺愛キス
◇
生吹くんから「お願い」をされた、その放課後。
一輝くんはMoonのアジトに来ていた。
「お~一輝!久しぶりだなぁ」
「一輝ーこっちでトランプしよーや」
「筋トレに付き合ってくれー!」
「悪ぃ、また後で」
サラリと交わして、一輝くんはある人物の所へ行く。
それは――藤堂先輩。
「やぁ、一輝」
「ご無沙汰してます」
一輝くんがお辞儀をすると、藤堂先輩は「相変わらず固いなぁ」と笑った。
「聞いたよ一輝。“ 生吹が総長じゃない”って、皆を説き伏せてくれたんだって?」
「説き伏せただなんて、大げさです」
「でも生吹は助かってるよ。そして俺もね。暗躍お疲れ様、生吹から礼くらい言われてるでしょ?」
嬉しそうに笑う藤堂先輩とは反対に、一輝くんは無表情のまま。
そして「アイツが礼なんて言うタマですか」と一蹴した。