最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「例え感謝してても、生吹は改まって礼なんて言いませんよ。俺なんかに」
「言い方にトゲがあるねぇ。そうやって突っ張ってても、友達は増えないよ?」
再び眉を下げて笑った藤堂先輩。
その様子を見るに、一輝くんの事を心配しているようだ。
「突っぱねてませんて。荒れてた時より、俺は丸くなりましたから」
「……ま、そうかもしれないね」
座っていた藤堂先輩は音もなく立ち、一輝くんの前へ行く。
そして何の前触れもなく、肩をポンっと叩いた。
「俺の名前を使ってまで生吹という”友達”を守った――それは、一輝にとっていい変化じゃないの?」
「!」
『”藤堂さんと幼馴染の俺”の話を、皆も信じてほしい』
そこまで知っていたとは――と、一輝くんは明らかに罰の悪そうな顔をした。