最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「……仮にですよ?俺があの頃のまま”伊織~帰りにコンビニ寄ろうぜ”なんて言ったらどうですか?」
「コンビニ……」
藤堂先輩は少し考えた後「悪くないね」と言った。
「幼馴染のよしみで、何か一つ奢ってあげるよ」
「いや、そーゆーことじゃねーよ」
即座に否定した一輝くん。以前の喋り方が出てしまい、咄嗟に口を閉じた。
だけど、時すでに遅し。
「生吹はさ、何をそんなに気にしてるの?」
机に肩肘をついた藤堂先輩が、核心をつく。
一輝くんは「っ!」と驚いた後、しばらく沈黙する。だけど観念したのか、ポツリと本音を漏らした。
「……あんたのメンツだよ」
「メンツ?」
「幼馴染だからって前と同じようにしてちゃ、お前の威厳が保たれねーだろ」
「いや、俺に威厳はあるよ?今も昔も」
「俺が一線引いてたからってのが大きい」