最強王子とフェンス越しの溺愛キス



「生吹は、この事を知ってるのか?」

「うん。既に伝えてある。了解と、そう言っていた」

「! じゃあ、なんで……」



あんなお願いをしたんだよ――



その声は、確実に藤堂先輩の耳に入る。

「生吹がなんて?」と間髪入れずに尋ねた。



「今日、生吹が言ったんだ。”24日のクリスマスにバイクを貸してくれっ”て」

「バイク?生吹って免許持ってるの?」

「……」



そこじゃねーよ、と言いたそうな一輝くん。

藤堂先輩を見るのをやめて、再びカードに目をやる。



「俺はバイク持ってねーから藤堂さんに聞くって、そう言った」

「そしたら生吹は?」

「あいつは……」


< 272 / 447 >

この作品をシェア

pagetop