最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「生吹は、この事を知ってるのか?」
「うん。既に伝えてある。了解と、そう言っていた」
「! じゃあ、なんで……」
あんなお願いをしたんだよ――
その声は、確実に藤堂先輩の耳に入る。
「生吹がなんて?」と間髪入れずに尋ねた。
「今日、生吹が言ったんだ。”24日のクリスマスにバイクを貸してくれっ”て」
「バイク?生吹って免許持ってるの?」
「……」
そこじゃねーよ、と言いたそうな一輝くん。
藤堂先輩を見るのをやめて、再びカードに目をやる。
「俺はバイク持ってねーから藤堂さんに聞くって、そう言った」
「そしたら生吹は?」
「あいつは……」