最強王子とフェンス越しの溺愛キス
『頼む。どっちも楽しみにしてるから』
生吹くんは涼しい顔をして、そう言ったそうだ。
「クリスマスだし、美月ちゃんとデートが入ってるのかな?だから、“ どっちも”ってのは――デートと決闘の事だろうね。その言い方だと、両方参加してくれるんでしょ。生吹は」
「でも、どうやって……」
不思議がる一輝くんに、藤堂先輩が目を細める。
「まぁ、こっちは来てくれるなら何も文句はないよ。決闘は夜だし。デートを終わらせて合流するのかな?そのバイクで」
「え、じゃあ、」
「うん、バイク貸すよ。俺ので良ければ」
一輝くんはひとまず胸を撫で下ろす。
そして「用は済んだし帰る」と言わんばかりに、出口を目指して歩き出した。
だけど、そんな一輝くんの後ろ姿に一言。