最強王子とフェンス越しの溺愛キス
クリスマスを目前に控えた最近。
私は放課後に、ある場所に立っていた。
「今日も来ない、か」
周りは、A校の学生が次々に帰路についている。
そりゃ、そうか。
だってここは、A校の校門なんだから。
「ここにいたら真白ちゃんと会えるかもって思ってたけど……甘かったかなぁ」
新島に二人して攫われた日、以来――
真白ちゃんとは一度も会っていない。
だけど、会いたくて。
元気な姿を一目見たくて。
私は毎日のように校門に立って、少しハスキーなあの声で「美月ー!」と呼んでくれるのを待っている。