最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「真白ちゃん、無事で、本当に良かった……っ」
あの日の事を忘れた日はなかった。
そして同時に、真白ちゃんから貰った優しさも忘れなかった。
『美月、安心して。一人じゃないよ』
『何も考えないで。怖がらないで。
私は大丈夫。美月も大丈夫、絶対』
『落ち着いて美月。大丈夫、逃がしてあげるから』
あの時、常に私第一で考え、そして行動してくれた真白ちゃん。
自分がどんなに危ない状況になっているか、知っていたはずなのに。
それでも――
「(それでも、私を優先してくれた)」
その事が嬉しくて、切なくて……。
真白ちゃんと引き換えに私が助かるなんて、そんな事は絶対にしたくなかった。