最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「純弥ー!!美月に言うなら、もっと早く教えとけっての!!」



真白ちゃんは怒りが収まらないのか、尚も私の顔をギチギチと挟む。



「美月は本当にバカ!なんであんな場面で、あんな事言っちゃったの!純也が来なかったら、自分がどうなってたか分かってる!?」

「ご、めん、なさい……っ」

「こんな細い体じゃ何も出来ないんだから、大人しく黙って私のいう事を、」



真白ちゃんが、そこまで言った時。

私は「違うよ」と否定した。



「確かに私は力が弱くて、ケンカも出来ない。けど“ 何も出来ない”わけじゃないよ。

だって、真白ちゃんを守れた」

「!!」



へへへ、と笑うと、真白ちゃんの体から力が抜けた。介抱された頬が、冷たい風に容赦なく当たる。


その風に乗って――真白ちゃんの目から流れた涙も、少しだけ空を泳ぐ。

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