最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(だからこそ、今日はちょっと……期待、しちゃってたり)」
綺麗なイルミネーションを見ながら、もしかしたら――って。気づけば、そんな事を夢見てしまってる。
「美月、人の多さに酔ってない?」
「だ、大丈夫ッ」
頭に浮かぶ夢のシチュエーションを追い払って生吹くんを見ると、黒い瞳とパチッと目が合った。私を優しく見つめてくれるその瞳を見ると……ふわふわした、心地いい気持ちになる。
しかも握った手にギュッと力が込められて……って、これ恋人つなぎだっ!
「(今日、私の心臓が持つかなぁ……っ?)」
ドキドキが抑えきれなくて、下を向く。だけど、生吹くんから「コラ」と繋いだ手を、上に引っ張られた。