最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「(男の人なのに、すごく綺麗……っ)」
長身に、モデルのような足の長さ。スラリと線は細いのに、どこかガッシリしているようにも見えて。
少し毛先がうねった黒髪が、まだ吹き続いている風にのって、ときどき泳いでる。
「(目は、吸い込まれるような黒。
宝石みたいに底のない暗さが、とても綺麗)」
切れ長の目、薄い唇。思わずなぞりたくなるような輪郭に、品よく並べられた顔のパーツ。
高い鼻は、この寒さもあってか、てっぺんが少し赤い。
「(見入ってしまうくらい異次元な綺麗さだなぁ……)」
そんな人の手に、私の百均のお弁当袋が握られているのが恥ずかしくなって。
私はおずおずと。
男の人にむかって、手を差し出した。