最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「なぁ~春風ー。俺らの族”Luna”に入ってくれよ~」
「またその話ですか?」
暴走族の勧誘。
俺がいつかケンカしていたのを目撃したらしいタク先輩は、その日以来、こうして俺に付きまとって勧誘してくる。
派手に何ヶ所も開けたピアス。髪は金髪。制服は着崩して、見た目からして不良だ。
そんな奴がいる暴走族なんて、興味ない。誰かとつるむのは苦手だ。
「他あたってください。俺なんて何の役にも立ちませんて」
「んなわけねーよ~。お前の強さは化け物なみだぜ~?」
「買い被りすぎですって」
いくらテキトーにあしらっても、何度でもやってくる。面倒ったらない。
隣にいた一輝は、いつの間にかいない。
見ると、とっくに席に着いていた。
「(アイツ、ちょっとくらい手を貸してくれてもいいだろ)」
でも、俺以上に誰かとつるむのを嫌っている一輝。
そんな奴が、こんな先輩とわざわざ関わり合いは持たないだろうし。
となると、
助けが来る可能性はゼロだな……。